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孫正義 300年王国への野望/杉本貴司

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ソフトバンク創業者 孫正義さんの価値観や判断基準を知る手がかりがここにある

500ページ超えという大作ですが、
最初から最後までとてもおもしろく読むことができました。

「志高く」も以前に読んだことがありますが、
それとはまた違った観点で書かれているので、まったく別のものとして楽しむことができます。

「志高く」が生い立ちに焦点があたっているのに対し、本書は事業や周囲の人物に焦点があたっています。

周りの人物と孫さんの関係性が見えることで、『人を惹きつける力』がより際立って描けているように感じました。

300年というスパンで物事を考えるすごさ

アームの買収、ブロードバンド事業の拡大、携帯電話事業への参入などの事業軸と、
それに関わった主要な幹部たちの人軸を中心にストーリーは展開していきます。

大きなビジョンを語れるからこそ、これだけ優秀な人材を惹きつけることができるのでしょう。

そうしたビジョンの代表格と言えるのが、タイトルにもある「300年王国」です。

300年という常識にとらわれない発想には心から脱帽しました。
人の一生よりも長いスパンで物事を考えることは、簡単そうで意外にできないことだと思います。

300年という年月の意味には、以下の2つがあるそうです。

・江戸幕府を超える

孫さんが尊敬してやまない幕末の志士・坂本龍馬。
その龍馬らが打倒した江戸幕府は270年ほど続きました。
日本の歴史上でも類を見ないほど長かった江戸幕府・徳川政権を超える。
徳川にできて、自分にできないはずはない。
そういったところから、300年を超えて成長し続ける企業をつくろうと思ったそうです。

・松下幸之助を超える

パナソニック創業者で「経営の神様」とも呼ばれた松下幸之助さん。
松下幸之助さんはかつて、社員を前にして、
建設時代10年、活動時代10年、社会への貢献時代5年。合わせて25年。
さらにこの25年を1節としてこれを10節繰り返すという250年計画を語ったことがあるそう。

世界恐慌の足音が聞こえる不穏な時代の中、
このような大きなビジョンを語ることで社員を鼓舞しました。

孫さんの300年王国というビジョンには、自ら尊敬する松下幸之助さんを超えたいという野望も垣間見えます。

ココを読んでほしい!

「孫正義は何を発明したか。たったひとつ挙げるならば、チップでもなくソフトでもなくハードでもない。『300年間成長し続けるかもしれない組織構造を作った、発明した』と言われるようになりたい」

非常に興味深い発言だと思いました。
300年というスパンもそうですし、組織構造という目の付けどころに関心しました。

孫は「同志的結合」という言葉を大恩人の佐々木正から教わった。リーダーとして志をともにする仲間をどう引き付けるか。「賢いだけでは人は動かせない」という将としての心構えは、本田宗一郎との邂逅からも学んでいたのだ。

人をまとめあげる際の孫さんの原点がここにあるように思います。

  1. 大きなビジョンにこそ人は惹きつけられる。
  2. 歴史を学び、自分の発想を鍛える。
  3. 未来を予測し、ポジションをとっていく。