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考え直すことの意義を説いた『THINK AGAIN/アダム・グラント』

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Summary

考えることでもなく、考え抜くことでもなく、考え”直す”こと。それが本書が扱うテーマです。

  1. 自分:自分の考えを再考する方法
  2. 相手:相手に再考を促す方法
  3. 組織:学び、再考し続ける社会・組織を創造する方法

の3パートで本が構成されており、取り扱う事例も興味深いものが多かったです。構成がシンプルであることで、今自分がどこにいるのかをしっかり認識しながら読み進めることができます。また、一見当たり前のように思えることであっても、具体の事例が新鮮でおもしろいので、納得度高く、理解を味わいながら読むことができました。

「過去の自分を振り返って、『一年前の自分は、 なんとばかだったのか』と思わなかったとしたら、それは、 それまでの一年間で何一つ学ばなかったということだ」

というレイ・ダリオさんの言葉にパンチがありました。たくさん示唆に富む言葉が出てくるのですが、自分にとってはこの言葉が中でも印象的でした。

人生に「再考」を取り入れられているか?それが確認できる、試金石となる質問だと思います。胸に留めておきたいです。

 

Question

著者が伝えたいことは何か?

既存の考えを新たな観点から見つめ直すこと=再考がいかに大事であるか

傲慢すぎず、謙虚すぎず、最適な自信はどれくらいか?

将来の目標に達するのに十分な能力が備わっていると自信を持ちながら、そのための正しい手段は何かと現在の自分に問う謙虚さを持つ。

自分の信念や見解を肯定するために学び、考えるような姿勢はおすすめしない。「自分がいかに正しいか」ではなく、「自分は間違っているかもしれない」と、科学者のように、能動的に偏見を持たない姿勢でいようとすることが大事である。

Association of ideas

子育て・教育に活かせそうなアイデアがいくつかあり、自分の子育て論をアップデートできました。本筋とは逸れるところではありますが、最近の関心事で収穫がありました。

ライト兄弟が受けた教育

子供に話に首を突っ込むなと教えるよりも、 自分自身のために立ち上がるように促す。そして子供は、人に対して臆することなく反論すること、そして自分に対する反論を受け止めることを習うのだ。

子どもたちにあらゆる書物を読んで、自分たちの意見を出し合うように強く促した。 子供達は、 自分の意見を述べる度胸と、論争で負けても自信を失うことなく立ち直る力を培った。

本を読む環境を自然に用意してあげることはやはり大事だなと思いました。その上で、ただただたくさん読ませて終わりではなく、どう思った?と意見を促す質問を適度に投げかける。意見を言ってもいいんだという教育を自分もしたいと思います。また、「論争で負けても自信を失うことなく立ち直る力」もとても大事だと思いました。反論はアイデンティティを否定し攻撃するものではない。これは議論を経験する中で、自分でしか学べないことかもしれません。

何になりたい?という質問を子どもの頃から浴びせられることで、無理に答えを探しその答えに固執してしまうようになる。

気をつけないとやってしまいそう。子育てでは、質問を投げかけて意見や興味・好奇心を引き出してあげることも大事。しかし、その一辺倒ではなく、時には子どもに無理に考えさせてはいけないケースもある。それが、将来の夢に関すること。答えを持つことをその時点で強要するのではなく、可能性を広げてあげて、自分で道を選び取るサポートするように心がけます。

Memo

事例

マイクラザリディス  ブラックベリー モバイル端末の開発
アップル スティーブ・ジョブズ iPodを携帯電話に変える案
ハッラ・トーマスドッティル アイスランドの大統領選
ジャン=ピエール・ブーゴン アメリカ大統領線の予測、ブレグジットの予測
ユナボマー セオドア・カジンスキー 新聞に掲載された自筆の声明文
ハリシュ・ナタラジャン ディベート プリスクールに助成金を交付すべきか?
ダリル・デイヴィス KKKと友情を築いた黒人ミュージシャン
ベティ・ビゴンベ ウガンダ 反政府武装勢力リーダーとの和平交渉
NASA ルカ・パルミターノ 宇宙服と水滴

人物の言葉

最後に、人物の言葉を中心に紹介します。

ダニエル・カーネマン

「自分が何かを学び得たかどうかを知る唯一の方法は、 自分の過ちを発見することだ」

レイ・ダリオ

「過去の自分を振り返って、『一年前の自分は、 なんとばかだったのか』と思わなかったとしたら、それは、 それまでの一年間で何一つ学ばなかったということだ」

心理学者フィル・テトロック

予測に必要なことは、何を知っているかよりも、どのように考えるか

ジャン=ピエール・ブーゴン

「大事なのは、自分が間違うこともあると認めること。そして、 自分が間違っている証拠を探すことです。自分が間違っているとわかっても、落ち込むほどのことではありませんよ。 『少なくとも何かを発見したんだから』って開き直る事が肝心です。」

ジェフ・ベゾス

「 多くの正しい判断が出来る人は、よく耳を傾け、よく自分の考えを変える人だ」

「自分の考えを頻繁に改めなければ、間違うことも多くなる」