サピエンス全史(上)/ユヴァル・ノア・ハラリ
私たちホモ・サピエンスは、なぜ繁栄できたのか?
認知革命・農業革命・科学革命という3つの革命が、
人類のこれまでの歩みにどのように影響してきたのかが綴られた本。
『サピエンス全史』を読み解く
他の動物に比べ、人間がこれほど繁栄したのはなぜか?
また、人間の中でも、ネアンデルタール人ではなくホモ・サピエンスが繁栄したのはなぜか?
そんな人類の大きなテーマを、3つの革命に沿って解き明かそうとする本書は、
まさにホモ・サピエンスの全史と言えるでしょう。
人類学と聞くとあまり馴染みのある分野ではないですが、
本書は読み物として興味深く読み進めることができました。
上巻では3つの革命のうち、
認知革命・農業革命までが触れられています。
自分も何億・何万年の歴史の上に、今こうやって生きているのかと思うと、
少し感慨深い気持ちになりました。
『サピエンス全史』 目次
第1部 認知革命
第1章 唯一生き延びた人類種
第2章 虚構が協力を可能にした
第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
第4章 史上最も危険な種
第2部 農業革命
第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
第6章 神話による社会の拡大
第7章 書記体系の発明
第8章 想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
第9章 統一へ向かう世界
第10章 最強の征服者 貨幣
第11章 グローバル化を進める帝国ビジョン
ココを読んでほしい!
虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている
ホモ・サピエンスが食物連鎖の頂点に立ち、文明を築くことができた理由は、『虚構』にある。
これは本書で最も注目すべき主張だと言っても過言ではないでしょう。
私たちが何の疑いもなく信じている国家、国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考え。
その全てが虚構の上に成り立っています。
より生活に根ざしたところでいうと「お金」つまり「貨幣」も虚構です。
仮想通貨が出てきた今の時代、貨幣=虚構という主張は、以前に比べて納得しやすいのではないかと思います。
物理的に形を持たないお金が流通し始めていることで、お金ってそもそもなんだっけ?と人は考えるようになりました。
それは、人工知能・AIが出現したことで、人間ってなんだっけ?と人は考えはじめた構図に似ているような気がします。
虚構というキーワードを通して見る人類の歩みは、とても興味深いものがありました。
感想
何億年・何万年という壮大なスケールでありながら、歴史は1つのストーリーとなって流れていく。
その流れを追っていく過程には、非常にわくわくするものがありました。また、歴史の理解も深まりました。